テレビで毎日報道されていますように、新型コロナ感染が世界中に拡大し始めて1年半になります。
この間、ウイルスは変異を繰り返し、インド型は感染力が強くなっているとも、また重症化するスピードが速いとも言われていますが、治療法はいまだ確立していません。
これまでの報道では「心臓病、高血圧、糖尿病」といった基礎疾患を持った人は重傷化しやすいとのことでしたが、最近の研究では「歯周病」が重症化リスクを高める可能性が出てきました。
例えば、英国の医学雑誌「ランセット」で公開された「The role of oral bacteria in COVID-19」ではこう述べられています。
- 新型コロナウイルス感染症で死亡した人を調べると”歯周病菌”が大量に見つかった。
- 口腔内の衛生状態が悪い、つまり口の中が汚れていて歯周病などがある人は、感染した場合に重症化リスクが高まる可能性がある。
そこで、奈良県橿原市の歯科医、正田晨夫 先生に新型コロナと歯周病の関連性について詳しくお話を伺いました(歯科医院の場所はこちら)。
新型コロナは歯周病があると3〜4倍重症化しやすくなる
通常、新型コロナに感染しても約80%は無症状か軽症で経過します。
しかし、高齢者を中心に約15%は重症肺炎となり、約5%は致死的な急性呼吸促迫症候群になり、さらには急性腎機能不全などの多臓器不全等も合併します。
この重症化リスクには心血管疾患等のいわゆる「持病」が挙げられますが、歯周病の患者では人工呼吸器が必要となる重症化率が3~4倍高くなるという研究が最近発表されました(2021/3)。
歯周病に加えコロナウイルスの感染が重なると、免疫過剰反応によるサイトカイン・ストームが起こるため予後不良となると考えられているからです。
お口の中のばい菌が新型コロナウイルスの侵入を助ける
新型コロナウイルスは、飛沫感染や手指を通して眼・鼻・口から体内に入り、喉の細胞表面にある「ACE2受容体」と結合して細胞の中に侵入して爆発的に増殖します。
歯周病にかかっているお口の中では、歯周病菌が作り出す酵素によりウイルスの侵入を助けるといわれています。
ムシ歯の原因菌もやはりこの酵素を多く産生するので、お口の中をいかに清潔に保つかが新型コロナの予防につながります。
これはインフルエンザも同じで、しっかり口腔ケアをした高齢者施設ではインフルエンザの発症が1/10に抑えられたという学会報告があります。
新型コロナの予防法
- 3密を避ける(密閉・密集・密接)
- マスクをつける → 陽性者の85%の人はマスクなしでの会話や飲食のため感染した(2021年4月福井県調べ)
- 手洗いをしっかり
- 体調を整え、免疫の働きを維持 →バランスよい食事で腸内細菌を整える
- お口の中を清潔に
以上
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